第一話〜転送〜


「やべっ!もう8時30分だ!!」
目が覚めると遠くに吹っ飛んだめざましが8時30分を示していた。
急いで支度をする。
「講義に間に合うかなー?」

俺は空野 夢

今年大学に入ったばっかりだ。

名前が変わっているのでよく女と間違えられる

しかし顔を見て女と間違える人はいない。あたりまえか・・。

趣味は音楽を聴くこととゲームをすることだ。

仲間内からは変わったやつだと言われるが自分ではピンとしない。

平凡だがまあまあたのしい毎日を送っている。

そんな俺でも夢はある。作家になることだ。

昔、読書感想文で読んだ本に感銘を受けて「これしかない!」と思ったのだ。

しかし現実はそう甘くはなくなかなか自分の書きたい作品が書けない。

ちょっと挫折気味の今日このごろだ。



いそいで準備をする。

「あ、しまった!今日レポート提出だった・・・」

仕方ないか・・・とにかくいそいで学校に行かなければ!!

ろくに寝癖も直さず家を飛び出る。誰も気がつきはしないさ・・・たぶん。

いそいで自転車をぶっとばす!!

いい調子だ。この調子なら2分前にはつくはずだ。

俺はいつもなら周りを確認するところも無視してぶっ飛ばす。

そして角を曲がったとき・・・

ブオー!!

トラックが飛び出してきた!!

「・・・・・っ!!!」

一瞬で目の前が真っ暗になった。



あー・・・・俺死んじゃったのかなー

なんだか体が軽いや。・・・ん?

「うわあああああああああ」

目を開くと何故だか落下中だった・・。

「おたすけぇ〜!!!」

どさっ!

どうやら芝生の上に落ちたようだ。腰が痛い・・・・

もうなんだかわけがわからない・・・



「・・・大丈夫??」

だれかが声をかけて来た。今度はなんだ・・・

振り返るとそこには髪の毛がきみどり色の女が立っていた。

珍しいものでも見るかのように俺を見ている。

・・・なんだこいつは??地元のヤンキーか!?

やばい!!カツあげされる!!速く逃げなければ!!

腰が痛くて思うように動けない・・・

「腰打ったんだね。手かしてあげるよ」

そう言って肩を貸してくれた。どうやらやさしいヤンキーのようだ。

「・・・・あ、ありがと」

人は見かけに寄らないもんだなーうんうん。

あれ!?なんか忘れているような・・・

あ!!そうか、俺は確かトラックにひかれたような・・・・その割りには怪我がない

どうなっているんだ!?いちばん謎なのはこのヤンキーの髪の色だ。センスがない。俺ならピンクにする。

顔を見ると眉毛が細くない!!化粧もしてない!!むしろ清楚な感じだ。

最近のヤンキーも変わったんだなーと思っていると、、

「え!?なに!?」

顔をジーっと見ていられて恥ずかしそうだ。

勝てる!!こいつなら喧嘩しても勝てるぞ!!

今度はニヤニヤしながら顔を見ていると、明らかに気持ち悪そうにこっちを見ている。

し、視線が痛い!!そうか!最近のヤンキーは精神攻撃を主流としているのか!!

こしゃくなやつめ!!そっちがその気ならこっちは白目攻撃だ!!

私が白目でヤンキーにがん飛ばしていると向こうのほうから誰か来た。

「あ!まずい!!隠れて!!」

そういうとヤンキーは私を茂みに隠した。

な、なんだ!?

「こっちにはいないか?」

「・・・ええ。いなかったわ」

「たしかにこの辺なんだがなー・・・」

そういう兵士らしきやつのつけている仮面をみると

なんと”へのへのもへじ”ではないか!!

しかもシリアスな声で言っているのでおもしろさ倍増である。

「にょほほほほほほぉ〜!!」

たまらず大声で笑ってしまった・・・・

「だれだ!!・・・・お前は・・例のやつだな!!」

そう言って、もへじ兵はこっちに向かってきた!

「・・・仕方ないわね!!」

そう言ってヤンキーは私の前に立ってもへじ兵の行く手をふさいだ。

「なんのつもりだ」

「こういうつもりよ!!」

ヤンキーがなにかボソボソとつぶやいたかと思うとどこからともなく竜巻があらわれ、

もへじ兵をどこかに飛ばしてしまった。

俺がポカーンとしているとヤンキーは

「なにがなんだか分かんないでしょ。家にいらっしゃい。事情は説明してあげる」

そう言ってニコッと笑った。



ヤンキーの家に着くと早速聞いた。

「さっきのやつはなんだ!?しかも竜巻!!お前はどこの族だ!!」

「ぞくぅ?まあいいわ。とにかく落ち着いて座って。説明してあげるわ」

そう言って彼女はゆっくりと説明してくれた。



彼女の名はアガサ。年は20歳

研究所で働いているらしい

趣味はボタン集め。特技は針に糸を通すことが出来る事。

週末には決まって居酒屋で鬼殺しを頼んで・・・



「ちがーう!!そんな事を聞きたいんじゃない!!」

「あ、ごめんごめん!ついうっかり・・・」



彼女が言うにはここはパラレルワールドというやつで、

俺の住む世界と同時並行に存在しているらしい。

ところが偶然科学者がその接点を発見したらしく

その研究が始まった。彼女はそこの研究者だったらしい。

そしてたくさんの科学者が研究を重ねた結果、

物質を転送する機械を開発。

たびたび俺の世界から物を飛ばして研究していたらしい。

そしていつものように物を転送すべく

トラックが通ると思われるところにワープ点をセットしていたら・・・



「俺が突っ込んで来たってわけか・・・・」

「うん。気づいてすぐに転送を切断したんだけど・・・」

「ところでなんで俺をかくまったりしたんだ?」

「うん。今回のミスは私の責任だから・・・それに・・」

「それに?」

「・・・それに転送物質に人間が入っていた場合例外なく抹殺されるの。
そんなのはあんまりだとおもって・・・」

・・・・なんだかわけがわからない。どなっているんだ!?

頭でも打ったか!?そうか!これは夢に違いない!!

目を覚ませばいつものようにセバスちゃんが朝食をベッドまで運んできてくれるんだ!!

セバスちゃん!!はやく俺を目覚めさせてくれ!!

「・・・信じてないって顔しているわね」

「ったりまえだのクラッカーじゃ!!そんなんしんじられっか、べらぼーめ!!」

「じゃあ、あなたの周りに起こった事をどう説明するの??」

「・・・・プラズマだ!!スカラー波だ!!マイナスイオン(?)だ!!」

「しょうがないわね。じゃああなたの世界にない物を一つだけ見せてあげる」

そういうとアガサはなにかボソボソつぶやいている。こいつ頭がおかしいのか??

ボッ!

するとアガサの手の平から小さいがが上がっている。

「これでわかったでしょ?」

「・・・・て、てやんでぇ〜!!プラズマだ!!」

「・・・どうしてプラズマになるのよ・・・」

「さてはお前は魔女だな!!魔女狩りじゃー!!」

「私は科学者よ。それにこっちでは魔術はれっきとした学問よ」

「・・・くぬぅ〜・・(きっと超電磁だ!!)
そういえば・・・え〜っと・・名前は?」

「アガサよ」

「アガサはこれからどうするんだ?兵士をぶっ飛ばしちまったぜ?
もう研究所には戻れないんじゃ・・・」

「もう戻る気はないわ。私はこれからあなたを元の世界に送って
施設を爆破するわ」

「なぜ爆破しなきゃならないんだ?別に爆破までしなくても・・・」

「異世界間で物質を転送しすぎるとお互いの世界が干渉しあって未来が変わってしまうの」

「でも施設を爆破してもまた装置を作るんじゃないのか??」

「その心配はないわ。あの理論を確立したのは私なの。
私以外にあの理論を理解できている研究者はいないから
二度と作ることはできないわね。」

「じゃあアガサがその装置を自分で作ればいいじゃないか」

「不可能ね」

「なんで??」

「パチンコで全部すったのよ。特許の権利も全部。」

・・・・天才らしいのであまり親しみはわかなかったが、

いまのでグッと親近感が湧いた。

「しかたないか。協力するよ。
俺も元の世界に帰りたいし。」

「ありがとう!助かるわ。」

「あとそれと・・・・・・・・
アガサはヤンキー??」

「ヤンキーってなに??」

「人からお金を巻き上げたりする悪いやつらさ」

「・・・??ああ、山賊ね。私は違うわ。
私は、天才美人科学者よ♪」

「・・・・・ケッ!!」

「・・・なに?」

顔は笑っているが手からはさっきの炎が出ている!!

「な、なんでもない!!アガサは天災鼻神歌学車さ!!」

「なんか発音があやしかったわね・・。まあいいわ
支度をしましょ」

「そんなに荷物がいるのか??」

「まあ歩いて3日はかかるわね」

「ぇ!?俺は一瞬でついたぜ!?」

「転送には時差が生じるのよ。さあいくわよ!
えー・・・っと名前はなんていうの?」

「空野 夢」

「じゃあ張り切っていくわよ!
のゆめ!!」

「ちがーう!!夢だ!!」

「え?そこが名前!?じゃあいくわよ夢!!
元の世界に帰るのも夢じゃないわ!!・・・なんてね♪
・・・・プププ」

「なにがおかしい?」

「ぇ!?今のダジャレサイコーでしょ!!
忘年会だったらドッカンドッカンいってるわよ」

「まさか〜!?」

「そういえばさっきのSWATが来た時、
笑っていたわね。何がおかしかったの?」

「だってあの、へのへのもへじの仮面はないだろ!?
誰だってあれを見たら笑っちまうさ。そっちこそおかしいんじゃないのか??」

「・・・・まさか・・・。こっちとそっちでは笑いの感覚が逆転してるんだわ!!」

「うそだ〜」

「うそじゃないわ!だってSWATの仮面を見たものは誰だっておびえるものよ。
子供なら間違いなく泣くわよ」

「あのもへじ兵でねぇ〜・・・。まあ、ある意味怖いけど・・・。
ところでSWATって何の略??」

すっぱいワキガのアンチ巨人の父ちゃん よ」

「だははははああ〜!!そんなんに怯えているのか!!
ばっかじゃないの〜!!だははああ〜」

「なによ!本気なのよ!!」

「SWATなら俺のところにもあるぞ」

「え!?何の略??」

「Special Weapons and Tactics だ」

「あっはははははああ〜!!!
す、スペシャル・・・あははははあ〜!!!
お、おなか痛いぃ〜!!いひっひっひぃ〜!!」

「なにがそんなにおもしろいんだよ〜。
すっぱいワキガのほうが3倍はおもしろいぜー」

「じゃあ、じゃあこれは??・・・・」


その後俺とアガサは朝方までお互いに話し合い

爆笑し続けていた・・・出発することも忘れて・・・。

そして密かな魔の手が近づいているのであった。






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